142.北オホーツク100Kmマラソン
初めて途中棄権となるか?
ノウハウをすべて使った、35Km過ぎからのウルトラ走り!!
6月のサロマに続いての参加。
北海道の100Kmのウルトラマラソンは、サロマ湖と北オホーツクの2大会がある。
札幌から北へ約320Km(おおよそ東京名古屋間)、
JR旧天北本線沿線のオホーツク海に面した港町である浜頓別町。
日本で最北端の100Kmマラソンの大会である。
浜頓別町の北側にあるクッチャロ湖を一回りしながら50Kmを走り町中心部に戻り、
今度は町の南側の海岸線と内陸部の牧草地の広がる丘陵地帯一巡する50Kmを走る。
町内を八の字に描いて1周するコースで、全国でも珍しいコース取り。
○現地への移動
大会前日の7月30日(土)、朝8時にレンタカーで現地へ向かう。
札幌市内で高速道路に入り旭川北インターで降りる。
ここから、国道40号線を北上し士別、名寄、音威子府を通り、音威子府から東へ向かう。
高速道路使っても4時間半ほどかかる。
午後2時前にスタート地点、受付会場のある浜頓別町の多目的アリーナに到着。
受付を済まして、浜頓別温泉で一風呂浴びて休息。
会場の屋台で、たこ焼きとビールで簡単な昼食をとる。
夕方5時からの前夜祭は、品数も飲み物も多く、1時間半ほどしっかり飲食ができた。
参加者は300人程。抽選会もあり盛り上がる。
○クマ出没情報
夜7時前であるが空はまだ明るいので、町内を散策。
浜頓別は、オホーツク海の毛ガニなど魚介類がおいしい。
寿司屋に入り、ビールと刺身を食べる。
カウンター席の地元の方が、昨日、100Kmのコースでヒグマを処理したことを教えてくれた
(地元では熊を御用にしたと表現する)。
ここ数年クマの出没が多くなったらしい。
猟師は毎年春先に猟をして熊を食べる習慣があるらしい。
1頭処分したものの、もう1頭はうろついているかもしれないらしい?
大会事務局では、熊の出没した場合は、中止もありうるとアナウンスしていたが、
寿司屋での情報は非公開である。
午後8時。明朝の軽食をコンビニで調達したものの、ホロよい気分も手伝って、
もう1件行くことにした。
一際ネオンの明るいスナックに入ると、なんと寿司屋でお会いしたお兄さんに再開。
話は盛り上がり、ついでにカラオケ3曲も歌ってしまった。
午後10時、すっかり満足して車中泊。
翌朝午前4時起床。外は少々時雨れているが、気温20℃。湿気がおおい。
天気予報では、曇晴、気温は25℃まで上がる。雨の心配はなし。
○今回の目標
サロマでは予想外の寒さで苦労したが、今回はそれなりの暑さでウルトラらしいコンディションとなると想定。
全コース高低差はないので、サロマと同様にイーブンペースで確実に完走することとしたい。
制限時間は14時間なので、コンディションが良ければ12時間台になるかも。
明日は、会社なので、レンタカーで夜中の移動となる。
交通安全のためにも体力はしっかり残しておきたい。
ウエア―は上下とも半袖で50Kmでの着替えは、上のみ。
ウエストポーチに携帯電話とデジタルカメラ。
特に携帯電話は、クマ出没したときの連絡手段の備えだ。
エイドでコーラがでるようなので、今回小銭は持たないことにした。
○スタート
午前3時半起床。
昨晩は少々飲みすぎたものの、体調はまずまず。
夜中に少し雨が降ったようだが、気温は20℃で寒くもなく、熱くもなく、ただ少々蒸している。
スタート10分前にトイレも済ませて、準備万端。
100Kmの参加者は400人あまり。
いろいろなウルトラ大会に参加してきたが、数100名規模の大会がトイレやエイドは充実度も程よく、
コースでの走りやすさを感じる。久々にのどかに楽しく走れそうだ。
ゲストの谷川真理さんを先頭に午前5時スタート。クッチャロ湖半に出て、
町中心部を1周して北上する。
9Km辺りからエサヌカと呼ばれる牧草地帯に入る。
ここから8Kmほどが「エサヌカ直線道路」で大会の目玉コースでもある。
10Km地点で、1時間1分。
とにかくあたり一面広々とした牧草地で、ランナーがアリのようにまっすぐ北へ向かっている。
日差しはないが、それにしても蒸し暑い。汗が結構出ているので、熱中症対策が必要。
10Kmすぎからは、こまめにエイドで水分と塩分(うめぼし)が必須のようだ。
20Kmすぎで折り返しがあり、ランナーとすれ違う。
20Km 2時間6分
ジョグペースで体調に異常なし。
23Kmあたりから西に向かい、丘陵地帯に入っていく。ここから先は少々起伏があるものの歩くほどではない。
ただ、25Kmすぎてから少々、胸のムカツキが出てきた。
通常のジョグでも体調次第で感じることはあるので、
大したことはないのだが、昨晩の少々飲みすぎと湿気の多さで体力をいつも以上に消耗したようだ。
横浜から来た中年の女性ランナーと話をしながら併走。ペースが少々上がり気味。
胸のムカツキもあり、30Km(3時間16分)あたりからペースを落とす。
エイドに、昨晩の寿司屋で見かけた地元の人がボランティアでいた。
エイドの人に聞いてみても、昨日の話は事実だそうだ。
ここから先は、熊注意報発生中。
上のウエア―は汗でびっしょり。梅干しや水をしっかり取るが、胃の調子がおかしい。
緊急事態発生。
36Kmのエイドの先でこれまで飲んだ飲料水を嘔吐。
なんとか食べたものは、消化はしているようだ。
70Km過ぎでの不調は、何度も経験があるが、前半での不調は初めて、緊急事態に近い。
胃をかばうためにも8分/Kmにペースダウンペース。
上りは無理せず歩きも入れることにした。
少しでも胃(内臓)を揺らせないようにすることが大切。
40Kmで4時間37分。ここまでとここから50Kmまでは、結構起伏のある牧草地帯。
胃をかばうためにも、慎重に走る。呼吸を楽にして、姿勢をよくして、腹部に負荷がかからないようにする。
まだ時刻は午前9時過ぎ、日差しは出ていないがとにかく蒸し暑いのが悩ましい。
本州から来たランナーも一様に驚いていた。
頭の中は、弱気の虫が鳴き始めて、リタイヤの文字が時折ちらつく。
先は長いし、内臓が最後まで持つだろうか?不安になる。
しかし、呼吸、足(太もも、ふくらはぎ)の疲労は、
まだ深刻ではない通常の疲労感覚のウルトラランのコンディション。
ただし、胃の消化不良状態にあると、水分、糖分の補給がままならず、
いずれエネルギー不足となり熱中症や脱水症状が進み、
疲労の蓄積が早まり、比例するかのように気持ちも折れて、リタイヤを迎えるというシナリオにある。
私の場合、吐いてから精々40Km程度が走る&歩きの限界。
100Km大会では経験がないが、甲州夢街道215Km大会で一度も完走できなかったのは、このシナリオ。
昼に近づき日差しが強くなってきた。
40kmからのエイドでは、頭から水をかぶるようになる。
時折アブが足に絡みつく。
リタイヤの誘惑にめげず気持ちを切らさず50Km地点となる最初のゴールに戻ってきた(50Km 6時間2分)。
経過時間だけみると完走ペースで何も問題ないのだが。
歩きが入っているので、ここから関門時間をしっかり意識した走りと歩きになる。
とりあえず、汗だくの上のウエア―を着替えて、冷たい水、コーラ、梅干し、スイカを食べて落ち着く。
胃の
調子は変わらず、お腹が空いているのだがうどんは一口だけしか入らない。
熱中症対策のために、無理やり梅干しとスイカを補給。
5分ほどの休憩で再スタート。行けるとこまで行くしかない。
2Kmほど走ると、オホーツク沿岸にでて南下する。
走っては(電柱3本間隔分約150m)、歩く(電柱1本間隔分)という私なりのウルトラ走り。
日差しが弱まり、風力発電が回るほど風があるので、暑さが和らぐ。
大会の距離合わせの関係で55Kmあたりで内陸部に入り1Kmほど折り返す。
歩くランナーがちらほら増えてきた。蒸暑さがこたえているようだ。
屈伸してストレッチするランナーも見かけるようになった。
60Kmで7時間34分 (関門時間まで60分前)、7分半/Kmのペース。
胃の調子は良くも悪くもなく、走りの部分はしっかりと走れている。
62Km過ぎから丘陵地帯に入り、小川牧場に向かう。上り坂が多くなる。
谷間に入って風も吹かなくなり、日が照り始めて暑さがこたえる。
エイドからの情報では気温は30℃を越えているらしい。
上り坂は完全に歩き。
牧場は65.5Kmの折り返しエイド。初めて椅子に腰を下ろして小休憩。
スイカがおいしいい。梅干しは無理してでも塩分補給のため口に運ぶ。
時折胃が向かつ感じがでてきた。
快晴の天気とは裏腹に、まだ残り30Km、5時間は走らなければならないので、一抹の不安がよぎる。
下り坂と平地は極力ゆっくり走る。胃がムカつくと歩く。これを繰り返す。
下半身の疲労(太もも、ふくらはぎ)は、通常のウルトラ疲れで特段異常なし。
70Kmまで西に向かう。丘陵地帯の直線的なアップダウンが続く。
北海道らしい景色でしばし苦しさを忘れるほどだ。
写真を撮る余裕がなくなってきた。1Km進むのが苦しくなってきた。
70Kmで9時間9分(関門時間まで26分前)。
緊急事態発生、75Kmエイドを過ぎて、二度目の嘔吐。
前日の食事が全部出てきた。
ここまできたら、存分に吐き出して、胃を空にするしかない。
とりあえずすっきり気分になるまで吐き続ける。
完全に消化不良に陥っている。あと25Kmエネルギー補給はかなわず、
水分補給も怪しくなるので、体力の消耗が激しくなるのは間違いない。
しばらく、5分ほどゆっくり歩きながら胃の具合を確かめる。
関門時間が迫っているので、9分台/Kmを維持していくためには、半分走り半分歩くの繰り返しが必須。
これまでウルトラを走ってきたノウハウをすべて生かすしかない。
80Kmで10時間43分(関門時間まで7分前)。
1Km進むのが苦しくなってきた、精神的なストレスがかかる。
ウルトラ走りは、35Km過ぎからすでに50Kmは続けている。
体調は100Kmを越えて走っているときの状態になっているが、脚力はしっかりしている。
走るための太ももも、歩くためのふくらはぎは、まだまだ十分機能している。
あと20Kmあまり、何とかなりそうだ。いや、何とかしなければ。
完走する気力だけは落としてはいけない。
最大のリスクは、弱気になること。大事なことは冷静に状況を判断することだ。
コースは北上する。気温は依然として30℃前後に感じる。
アップダウンの丘陵地帯が続く。
エイドでは水をかぶる。冷たい水コップ一杯と梅干し1個ほおばる。
休憩はとらない。時間に追われるのは久しぶり。
90Km12時間19分(関門時間まで11分)。
ペースは落ちていないので、このままゴールに滑り込みたい。
少しでも貯金が欲しくなるが、ペースを上げると胃がムカツク。
95Km過ぎで三度嘔吐。真っ黒い消化不良の食べ物と水がでてくる。
救護班バイクの方に大丈夫ですかと声をかけられる。
返事をする余裕がなく、とにかく胃の中を絞り出す。
何とかすっきりして、ラストラン&ウオーク。
1Kmごとの表示が意外と長く感じられず、おおよそ距離感はある。
足腰に異常がないのが何よりだ。残り2Kmで制限時間まで25分。
全部歩いても間に合う。焦る必要はない。
残り1.5Kmで町中心部に入る、沿道の応援もおおくなり
手を挙げて声援に応える。歩きが多くなる。
ゴール手前100mあたりからしっかり走りゴール。
ゴール写真をしっかり撮ってもらわないと。
13時間53分38秒、制限時間6分22秒前、(午後6時53分)。
本当にヘロヘロゴールとなった。本当にしんどかった。
休息所で一休み、一気に疲れが出てきた。何も口にしたくない。
ゴール後の記念写真を撮る余裕もなかった。
しばらくして、洗面所で胃の中の最後の残りを嘔吐。
体育館でシャワーを浴びて、車内で1時間ほど横になり、
午後8時過ぎに、札幌へ向かう。
空腹感はなく、何も食べたくない。
音威子府の先、和寒から高速道路に入る。
車の行き来は少ない。とにかく眠い。
安全のため、2度ほどパーキングで仮眠する。
午前6時に札幌の自宅に到着。朝方コンビニで食べたアイスクリームがおいしかった。
自宅で休息して、朝8時にレンタカーを返して、
会社の近くのトレーニングジムのお風呂に入ってから、9時までに出社。
大変お疲れ様でした。よくがんばりました。
出走431名、完走者235名(男子200名 女子35名)、完走率54.5%。
男子完走者200名中、総合順位191位。
次回の予定
8月28日、北海道マラソン(フル)(札幌市)。
9月19日、豊平川サーモン駅伝(札幌市)