110.熊野古道 (切目〜熊野大社〜那智〜新宮〜新鹿)

7月のつづきです。今回197.4Km 、全工程359.8Km

 

7月の続きは夏休みに敢行することにした。前回、通り過ぎてしまった御坊市の道成寺を巡って、切目から熊野大社を目指し、その後は体調や天気の様子を見て進めることにした。とりあえず、宿泊所は紀伊田辺、熊野大社近郊の川湯温泉を確保してある。

○第4日目 86日 (快晴 気温31.8℃) 御坊市及び切目〜紀伊田辺 (111516:40 27.3Km

前回うっかりして、安珍清姫で有名な道成寺を通り過ぎたので、まずは御坊市に立ち寄る。JR御坊駅で早めの昼食をとって11時過ぎに出発。気温は30℃を越えている。快晴。線路沿いに走っていくと有吉佐和子が記載した髪長姫の案内板と像がある。清姫よりはもともと、髪長姫と女人開運で有名であったらしい。ここで道の確認に手間取ってしまう。線路と用水路沿いに南下して、前回通過した海士王子跡にでてきた。そのあと少々戻りすぎてしまったが、前回見逃した道標を発見。なんとか道成寺に入る。安珍塚や七不思議、鐘楼跡など見て回る。長女の就職成就祈願しておみくじ引いたら大吉だった。

昼前に道成寺駅につく。12時半前に電車で切目駅に到着。駅近くの光明寺を見て、民家があるものの急な坂を上ると中山王子神社(切目中山王子)がある。当時はかなり大変な坂道であったようで、わらじや草履を祭ってある。山間の坂を下っていくと目の前に海が広がる。そこに徳本上人名号碑がある12:50)。

海岸線を望む民家が並ぶ山裾を走る。梅干が干してあり、甘酸っぱい香りが漂う。岩代の結松をすぎるとJR岩代駅にでる。少し戻って軌道を越えて海岸にでると岩代王子があった。気温は高いが潮風が気持ちよく記念写真を撮る13:10)。

再び岩代駅に戻って、海岸線を走り、小高い丘を越えて海岸線におりる。

あお海がめの産卵する砂浜を歩いていくと千里王子(王子神社)、千里観音があった。ここが景色の良い千里浜だ。

道案内どおりに王子の裏手を進むが、途中から藪になって前に進めない。仕方がないので丘の上を行く車道を進む。旧道は谷あいを走っていたようだ。途中行き過ぎたが、なんとか南部峠の地蔵にたどり着く。骨つぎ地蔵ともいわれている。古道の雰囲気を漂わせるくだり坂を走り三鍋王子社につく。夕立のような雨がふり傘を差しながら走る。田辺市に入る。しばらく海岸線を進み芳養王子社(大神社)に着く。芳養一里塚址を過ぎると市街地に入ってきた。県道から少し外れて出立王子社がある。会津川にかかる会津橋を渡り田辺市中心地。弁慶生誕の地である。弁慶松跡を通り過ぎると、今日の宿に到着16:10)。夕飯はJR駅の山側にあるスーパーへ買出し。駅前で弁慶銅像を写す。今日一日古道を歩く観光客とは出会わなかった。

明日から、ついに本命の熊野大社が間近になるので、缶ビールで体を清めて早めに就寝。

○第5日目 87日 (晴曇 気温29℃) 紀伊田辺〜小広峠 (5:2015:00 51.6Km

アクシデント発生、危機一髪!!

なんとか熊野大社で一気にいければいいのだが、距離は70Km。山中を走る、歩くことになるのでどこまでいけることか?

今日から、本命の本宮を目指すので、気合を入れて今回のために新調した新しいウェアを着る。5時前に起床。520分出発。昨日の道を戻り、会津川をさかのぼり、秋津王子に向かう。

ここから先、道に迷い右往左往する。地元の方に道を聞いて迷いながら道標に到着。6時前なので、牛丼屋で朝食。須佐神社を過ぎてからも目印の郵便局を見つけられず行き過ぎる。コンビニで教えていただく。朝から迷いっぱなしだ。万呂王子は畑の真ん中にあるが、案内は県道沿いにある。三栖灰廃寺塔跡を見て、山間に入ると小高い丘の上に三栖王子跡あった。ここまでの道は古道の雰囲気がある。丘に下ると道がわかりづらく、近くの工場で道を尋ねる。ここから高畠山の中に入り込む。みかん畑が多く、道の分岐も多いので良くわからない。新興住宅地でまた道に迷い、地元の運転手に地図で確認。山の中を迷いながら、なんとか、新岡坂トンネルにでた7:30)。

時間をロスしてしまい、まだ10Km程しか進んでいない。八上王子跡(八上神社)あたりでも道に迷い坂道をいったりきたり。やっと里に入って畑の中に田中神社(オカフジ)を確認。稲葉根トンネルを越える旧道の入り口まで着たが、藪になっていて前に進めない。仕方なくトンネルを抜けて、稲葉根王子跡につく。時刻は8時を過ぎたが、急に暑くなってきて、自販機で水分補給。ここからは、冨田川をさかのぼる。 一ノ瀬王子跡、庚申塔道標、鮎川王子跡を過ぎて、住吉神社につく。古いが沢山の神様が祭られていて大きな神社だ。御所平、お薬師さんを過ぎると川沿いの古道を走る。細く狭いが古道の雰囲気がたっぷり。木陰になるので涼しい。

途中に道祖神と庚申塚、念仏淵と鮎川温泉があり、赤い鉄橋を渡るとまもなく清姫の墓所がある。まったくここまで人通りはなく、前方には山々が見えて、先がどうなっているのか見当がつかない。県道に入り、まもなく登山風の観光客が数人見えてきた。滝尻王子社だ。住所は中辺路町であり、熊野古道中辺路の名と同じだ。中辺路の起点になる。急な登りが続く滝尻である10:10)。記念写真をとる。

しばし、王子社で休憩、水分補給をして、道順を確認する。ここからが予想だにしないことが起きてしまった。

神社の裏手に回ると、いきなり登山道になる。岩を登る。胎内くぐり 乳岩、不寝王子跡を見て、さらに急な岩山の道を登る!

女性が休憩している。普通は杖で補助しないとかなりきつい坂だ。途中3度ほど、呼吸を整える休憩を入れながら進んでやっと上り終えた。さてここから時間を挽回しようと走り始めの5、6歩進んだところで右足がつまづいて転倒。前方に飛ぶようにして左手をついて一回転。更にもんどりうっていたら、谷へあわや落下寸前。ホッとして、体を確認、体に痛みが走る。幸い顔とめがねには異常なし。左ひざと左手のひらとひじ、右手指に傷。出血している。それよりも頭は疲労でふらふら、両足も攣ってしまった。しばし腰を下ろして休む。かがんでよろけながらバンドエイドで処置していると、目の前に谷、あっと気づいて木につかまり、ここでも間一髪。再度腰を降ろして一呼吸してから歩き始めた。

ゆっくり歩きながら剣の山経塚跡、針地蔵尊をすぎると前方の景色が開けた。高原熊野神社に到着。水道で傷口を洗う。やっと落ち着いてきた。休憩所で水分補給11:20。足の疲労と朝から道を迷うことを繰り返し、先ほどは転倒で負傷。頭も体も万全ではないので、今日は、走りは無理せず歩きに徹することにした。それよりも、滝尻からは。旧道の雰囲気はたっぷりで、気持ちがいい。

まったく観光客とはすれ違うことがない。庚申塔、一里塚、と過ぎて大門王子跡、十丈王子跡と山道を進む。悪四郎屋敷跡、一里塚、上多谷茶屋跡、三体月伝説と進み、風が吹き抜ける逢坂峠を越える12:53)。

大坂王子跡、一里塚を過ぎて箸折峠と牛馬童子。ここを過ぎると下り坂になり里が見えてきた。地露の集落に入った。近露伝馬所跡のお店の前で一休み13:45

ここから本宮までは25Km。つく頃は真っ暗になるので、どこで今日を終えるか悩ましい。バス停の場所ははっきりわからないので、県道とぶつかる小広トンネルあたりを目安とした。あと10Kmほど。昼食はとっていないので、ミルクティでカロリー補充。旧道の雰囲気を堪能しながら比曽原王子跡を過ぎると人里に入り一里塚跡、野中伝馬所跡がある。路線バスも走る道に出てしばらくすると、継桜王子跡、秀衡桜、

安倍清正腰掛の石、中川王子跡14:45と過ぎて、三叉路に出る。竜神バスに電話して小広峠のバス停と時刻を確認する。1時間後の4時半頃の到着便になる。時刻が近づき、バス停の案内と違うことに気づき、トンネルの向こう側のバス停へ走る。時刻を過ぎてしまいそうなので、バス会社に再度連絡すると、折り返して迎えにきてくれたので助かった。最後の最後まで今日は道に迷ってしまった。5時過ぎに宿に入り、温泉で体を休めて早めに就寝。傷が痛い。

ちなみに、バスを降りてからもホテルまでの道を間違えるは、男風呂と女風呂は間違えるはで、今日はどうも頭の回転がおかしかった。

○第6日目 88日 (曇のち晴 気温30.6℃) 小広峠〜本宮〜川湯温泉 (70514:00 22.1Km

疲れがまだ残っている。昨日の怪我もあり、山道の危険を再確認したことから、今日は本宮まで行くことにして、早々に宿に戻り休息をとることにした。5時半起床。6時半のバスで小広峠まで向かう。バスは、小栗半官生誕の地である湯の峰温泉を通過する。7時、ひんやりした空気を吸って気持ちよく今日も出発。小広王子跡、小広峠を過ぎてから山道に入る。野瀬川王子跡、一里塚と古道は整備されている。草鞋峠(標高592m)、

仲人茶屋跡、岩神王子跡と峠越えが続く。まだ、8時なので、古道を歩く人もなく、朝日を浴びながら気持良く、古道を進む。おぎん地蔵、一里塚、蛇形地蔵、湯川王子跡を通過して、あたりが開けて、三越峠、三越関所に到着900。ここでしばし休憩。のぼりが続き、気温も上がってきているので、ウエアーは既に汗でびっしょり。ここからは、下り坂が多くなる。猪鼻王子跡を過ぎて、発心門王子跡に来ると観光客が集まっている。ここから本宮を目指す観光ルートになっているようだ。記念写真をとる。

歯痛の地蔵、水呑王子跡、伏拝王子跡と進むに連れ観光客が多くなってきた。伏拝王子跡は京都から260Kmで12日間かけて到着したそうだ。九鬼ヶ口関所、祓戸王子跡ついに本宮が近づいた。本宮に入ると黒い郵便ポストとやた烏が迎えてくれた1130

やた烏は、サッカーワールドカップ日本代表のシンボルマークに使われている。家族へのお守りをお土産に購入。お参りをして、しばらく休憩。

参道の階段をおりて、蕎麦屋で昼食をとる。大斎原で日本一大きな鳥居のまえで記念写真をとる。快晴で気温はぐんぐん上がってきた。境内を抜けて、しばらく熊野川沿いに下っていく。大日山トンネルを抜けて、川湯温泉にもどる1400)。温泉で汗を流して、夕方まで一眠り。昨日転んで怪我した、膝や手が痛い。

 

○第7日目 89日 (曇小雨 気温26.7℃) 川湯温泉〜那智勝浦 (70517:00 39.4Km

しっかり半日休養したので、疲労回復。昨晩、どのルートを通るか悩んだ末、昔はあまり使わなかった本宮から那智山、の小雲取越、大雲取越ルート。熊野古道で一番標高の高い峠越えを進むことにした。急坂が続くのと標高が1000m近くになるので、気温は下がる。また、天気予報では時々雨なので、山道が雨でぬかるとやっかいだ。

5時半に宿を出発。熊野川を下って、請川から山道に入る。いきなり急坂になる。案内板では、小口まで13Km歩けば5時間以上かかる。雨が降り出す前に少しでも前に進みたい。

松畑茶屋跡、百間ぐら、賽の河原地蔵、石堂茶屋跡、桜峠、桜茶屋跡と道は細く、あたりの低い山は雲で見えない。尾切地蔵をすぎると程なく、小和瀬の渡場跡につく8:55。雨が降り出してきた。給水して、休憩。さすがに疲れた。ここから、最大の難所の大雲取越ルートに入る。

那智大社まで18Km、歩きで6時間かかるらしい。今日の宿は決まっていないので、那智大社を見てJR那智駅まで、夕方までには到着したい。

また坂上り坂がつづく。雨も強くなってきた。傘をさしながら進む。円座石、楠の久保旅籠跡をすぎて、長い長い急な同切坂(約4Km)。標高差で500m上ることになる。

石畳なので雨ですべる。進むにつれた雨が強くなってきたので坂は川状態なってきた。100mほど上っては息を整える。風が吹き抜けてきた。越前峠に到着1120。峠には近くの小学生の卒業記念遠足の札が何本も立っていた。大人でも大変なことなのに、小学生は大したものだと感心する。ここからはくだりが続くので、足を滑らせないように気をつける。石の上で足がそろうと滑る。一度しりもちをつく。本当に危ない。石倉峠を越える。色川の辻近くで、木立がたおれ、大きな石などで古道が崩れている。慎重に気をつけて通過。

雨は小降りになった。船見峠は標高8821305

道には雨が溜まっているので避けながら進む。舟見茶屋跡を過ぎると今度は急な下り坂。石畳なので滑る。きわめて危険。 

登立茶屋跡を過ぎてお腹が減ってきた。雨は止む気配がない。なんとか怪我することなく、青岸渡寺 熊野那智大社に到着1420。境内は雨の中観光客が沢山いる。

お参りをして、蕎麦と缶ビールでエネルギー補給。店の方に宿の情報を聞くと、那智勝浦にホテルが沢山あるそうだ。雨が止んだ。那智の滝がきれいに見える。

里に下りて那智大滝、飛龍神社を間近に見て、再び古道に戻る。長い石段を下りながら大門坂、十一文関跡、多富気王子跡、庚申塔、夫婦杉、振ヶ瀬橋、新宮藩の関所跡を通過。舗装道路に入ったので、走り始める。民家が続く中、お杉社、市野々王子神社がる。途中から山道に入る。荷坂峠の尼将軍供養塚を過ぎると再び古道の雰囲気がでてきた。竹林もきれいだ。市街地に入り、しばし県道沿いを進み、川関の道標を通過して、補陀洛山寺、熊野三所大神社、浜の宮王子跡に到着1700JR那智駅から那智勝浦に向かう。駅前の観光協会でホテルを紹介してもらう。夏休みなので、家族連れが多い。ホテル浦島の温泉でしっかり休養。転んだ膝は相変わらず打身状態で痛い。

○第8日目 810日 小雨のち曇 気温30℃) 那智勝浦〜神志山 (70517:00 37.9Km

今回の一番の難所をクリアした安心感もあり。熟睡。朝も遅めに起きる。濡れた靴も無事乾き、8時半にホテルを出発し、駅まで朝食をとる。線路沿いの国道を進む。大狗子峠は藪に近い山道だが、何とか抜けられた。

白菊の浜と鎧掛け松を通過し、小狗子峠に向かう。昨日の雨上がりのせいか沢蟹が道端に出てきている。

峠への道は完全に藪になっていて断念。迂回する車道を進むが、峠の雰囲気は味わえた。しばらく国道を進むと新宮港手前で佐野王子跡がある1020。その先のショッピングセンターにあるマクドナルドで休憩。佐野一里塚を過ぎて、JR三輪崎駅を越えると古道に入る。道標、金光稲荷神社、孫八地蔵、御手洗板碑、高野坂を進み、前方には王子ヶ浜が見える。天気が良ければ景色はさらにすばらしいだろう。

しばし王子ヶ浜を歩く。玉砂利が多い浜辺。2Km程浜辺歩いて国道に出る。

浜王子までくると新宮駅が近い。阿須賀神社、阿須賀王子、弥生式竪穴住居跡を見て、新宮城(丹鶴城跡)を通過。このあたりから天気が回復して、暑くなってきた1300。おなかも空いてきた。

熊野速玉大社には、弁慶像がある。直ぐ近くの川原町を見て、神社近くの蕎麦屋で青海苔入り蕎麦で昼食。冷たいビールで生き返る。今日の宿はあらかじめ検討をつけていた熊野市内のビジネスホテル。電話で予約を入れて一安心。

熊野川を渡り、内陸部入る。道路工事中で、旧道がわかりづらい。地元の人に聞いてもわからない。しばし迷ったが、なんとか導引地蔵尊、横手地蔵尊までくると海が見えてきた。井田の一里塚、狼煙場跡、を通過して、一度国道に出ると、亀塚、ウミガメ公園がる。小さな水族館で海がめがいる。七里御浜や国道を走る。伊勢まで156Kmの表示があった。

緑橋をわたる1700。空模様が怪しくなって、小雨が振り出しそのうちに本降りになる。JR神志山駅で今日の工程を終えた。

○第9日目 811日 (快晴 気温30℃) 神志山〜新鹿 (83013:00 19.1Km

今日が最終日。午後から東京へ移動するので、JR新鹿あたりがゴールになる。体のあちこちが痛くなってきた。天気は回復して暑くなりそうだ。朝食はサンドイッチ。神志山駅に8時半に到着。

巡礼供養碑、七里御浜がとてもきれいだ。

海岸線の林道を走り抜ける。立石の道標、有馬道標、花の窟、花の窟神社、獅子巖を見て周る(10:00)

宿場町を抜けて、木本神社、笛吹橋を通過して松本峠に向かう。古道の名残が十分ある。天気が良く暑くなってきた。熊野の鬼ケ島城に着いたときには汗びっしょりとなる1050

海が青くとてもきれいだ。古道は大泊海水浴場に一度山から降りてまた大吹峠へ向かう。峠の切り株で一休み。記念写真。さすがに連日の暑さと山道で疲労が蓄積してきた。

除福の宮、波田須神社からみえる熊野灘もきれいだ。波田須の石畳、

西行松と山道を進み、新鹿の海岸に下りてくる。徳司神社を通過して、海水浴場のシャワーを浴びて着替える。 JR新鹿駅で終了。

今回の走行距離 197.4Km(これまでの合計359Km)

本宮、那智大社、熊野速玉大社を廻り、今回の目標は達成。山越えは大変厳しく、危険がいっぱい。なんとか無事に越えることが出来た。伊勢路の残りは、伊勢神宮までの約130Km。その他のルートで約220Km残っている。次回は9月の連休等で伊勢路を完結させたい。