17.第7回千葉飛翔ウルトラマラソン
地獄の8時間、58Km走破!!

 

千葉幕張、浜田川緑地講演周回コース(5月31日)

天気予報;朝から快晴、微風。気温は25度以上。

 5月17日の安政遠足侍マラソンマラソンを無事完走し、今月の練習量も170Kmを越え、記録を更新。 さすがに、少々疲れ気味で腰が重い。2日間練習を休んだが今一つ体がだるい。数日間は、今回の作戦を色々 練ろうと考えるが、4時間半を越え8時間も走る(給水、休憩を取りながら)ことが、どんなに過酷なことか なかなか想像できない。2週間前に、富田林市役所の職員が書いた「泣いて笑ってウルトラマラソン」という 本を読んだが、想像を絶するに尽きる。朝4時に高崎出発、7時に幕張到着の予定で、早くから床に就くが、 結局夜中の1時過ぎに眠り込んだようだ。

天気は予報どおり、晴天、若干浜風がそよぐ。昼からは気温は上昇しそうだ。愛馬サーフを会社のビルに置 かせていただき(守衛室に事情を話してお願いした。)、歩いて5分の公園に着く。すでに何人かが集ってき ており、皆で協力して大会事務局の手伝いをする。この大会は、千葉県在住の個人の方がボランティアでウル トラマラソン愛好家のために行っている大会なのです。知り合いどおしの方が多く、互いに挨拶を交わしてい る。参加者は名簿によると、59名。年々増えているそうだ。なんと、女性が8名参加している。マラソン大 会というより、町内会の朝のラジオ体操や清掃運動に集まっているような穏やかな雰囲気の大会。

(なごやかなスタート前、これから地獄が待っている!)日付は設定ミス。

1周3.4Kmを18周。61Km走破を目指す!!(制限時間8時間)

単純に考えれば、1時間に7.6Km。1Kmを7分52秒で走れば良い。ジョギングが1Km6分ペースだ から、かなり遅い。しかし、休憩、歩きが入るにしても、5時間以上も体を動かしつづけた経験はない。とに かく、初めての体験。不安が募る。とにもかくにも、8時間リタイアせず、走ることが、目標。できれば、6 1Kmを完走!

8時、大会代表の号令でスタート。皆、ゆったりと走りだす。参加者は名簿の59名の半分くらいではなかろ うか。普段の朝のジョギング気分でゆっくりと進む。1周を19分40秒。ちょっとペースが速いが、まずま ず。1周を21分以内で走るように心がける。浜風が気持ち良い。犬の散歩や、朝のジョギングを楽しむ人た ちとすれ違う。3周で約10Kmを59分台。練習ペース。初めて、給水。気分爽快。他のランナーも一息つ いている。普段ならまだ、給水には早いが、まだ、50Kmもある。先を急ぐ必要はない。皆、今日のコンデ ィションを確認しているようだ。穏やかな朝に物静かなランナーが淡々と走っている。

4周目からは、こまめに給水。気温も上がってきている。6周目で約20Km、2時間2分台。練習ペースを 維持している。まずまず快調。それぞれのランナーは、ペースが一定している。前も後ろも一定間隔。給水所 (エイドステーション)で会う人もだいたい決まってくる。年配女性と30歳台の女性が私のペースに近いら しい。30歳台の女性が4月の霞ケ浦マラソンのTシャツを着ていたので、並走したときに、尋ねてみると、 なんとウルトラマラソンは2度目で前回は80Kmを走破しているとのこと。走るペースは私より遅いが休憩 が短い。私が、先に給水所についても、休憩が1分ほど長いので、走り出して2Kmくらいで先で追いつくと いうパターンが続く。年配の女性は常に私より先にスタートしている。たまに、彼女の休息が長いと逆転す る。20kmをすぎると、午前11時を回り、日差しも強く暑さが堪える。浜風があたるところは、なんとも ないが、風がないと汗が噴き出て、きつい。給水所では、必ず頭から、水道水をかぶる。1周(20分くら い)すると、すっかり乾いている。この繰り返し。

9周目約30Km。3時間17分(午前11時17分)経過。暑さが堪えて明らかににばててきた。1周が2 1分台。1Kmを6分10秒ペースと特段ペースは落ちていないが、、休憩時間が長くなってきた。水やお 茶、くだものをしっかりとる。水道で頭、足を冷やす。5分くらい余分にかかってしまう。10kmで1時間 15分かかっている。15分オーバー。ここでまで空腹感はないが、後半のスタミナを考えるて、おにぎりを 1個無理やり詰め込む。それ以上食べられない。千葉マリン球場で横浜と阪神のゲームがあるようだ。家族連 れやタイガースファンが明らかにわかるコスチューム(虎のユニフォーム、メガホンなど)で歩いている。す れ違うと子供たちが不思議そうに見ている。給水所の手伝いをしている女子学生に、「こんな暑いに日に朝か ら夕方まで走っている私たちは不思議な人間と思う?」と聞いてみると、「ハイ!」と即答された。

12周目、約40Km。4時間47分(午後0時47分)経過。1周を23分ペース。休憩も10分近い。1 0Kmに1時間30分かかっている。30分オーバーは休憩3回×10分の計算になる。給水所には、十分に 休憩をとるランナーが多くなる。座り込んだり、マッサージしたり、横になるランナーがいる。事務局の話で は、気温は27度を越えているとのこと。十分に給水をとるようにと声をかけている。「水を飲みすぎて死ん だ人はいないよ」と言う言葉は意味深だ。そうこうしているときに最初のゴールランナーがやってきた。皆拍 手して迎える。とても真似などできない強靭なランナーだ。

42Kmを越えて未知の世界に突入。あと6周=あと3時間?

10Kmを1時間走って1周毎に10分3回休めば完走できる計算であるが、走る距離の不安よりもあと3時 間も走らなければならない(実際には2時間、普段のペースで走る)ことの恐怖感が襲ってきた。30Kmを 過ぎてから、腰が痛くてさすりながら走ってきた。こんなことは初めて。おそらく、最近の疲労に加えて、今 日の暑さで腰の疲労がピークになってきているのであろう。痛みは50Km近くになっても消えない。だんだ んと背中が丸くなり、前かがみになってくる。そのうえ、左足の裏がいたくなってきた。足の皮が剥けてきそ うな感じがある。息も苦しく、ハッ、ハッと声をだしながらの息継ぎが多くなって、喉が渇き、声もかすれて くる。スタートして5時間半、13周目であろうか、ついに、足の裏の痛みと腰の痛み、胸の苦しさに我慢で きず歩く。ペースメーカーにしていた、年配の女性にはついていけなくなった。歩きと走りを混ぜながら80 Km走破した女性になんとか、離れないようについていく。

15周目。約51Km、6時間33分(午後2時33分)。1周するのに27分くらい。休息は、極端に長く なる。汗はもう出てこない感じだ。腹も空かない。疲労感が強い。給水所のアルバイトの女子学生にがんばっ てくださいと励まされながらスタート。前方に足を引きずって歩いているランナーがいる。立ち止まってはま た歩くという姿が遠くからでも見える。

16週目、スタートしてから、7時間が経過した。私の意志に素直に従って、腕、足、腰、肺、心臓が黙々と 動いている。まるで、スイッチを入れっぱなしの懐中電灯のように動いている。思わず、自分の体全体がかわ いそうに思えて目頭が熱くなる。なぜ、走っているのかと考えるよりも、まだ、動いているという感動が沸い てくる。1周3Kmのうち、半分は歩きが入っているかもしれない。ほとんどの人がゴールしたのか、途中リ タイヤしたのか、前にも後ろにも、コースの反対側にもランナーは1,2人しか見えない。タイムから見て、 18週目に入るのは不可能だ。

16週目を終わって、残り45分。記録係に後1周走らせてくださいとお願いして、17週目にはいる。休憩 はしない。これがほんとに最後の1周。前方には誰も見えない。千葉マリン球場でのゲームも終わり、コース には、人の姿もほんどない。日差しもめっきり弱くなり、肌寒い。なんとなく寂しい雰囲気の中をひたひたと 走る。というより、足踏みしながら少しずつ歩いている。普通に歩いている人より明らかに遅い。

反対側の給水所でアルバイトの女子学生が心配そうにこちらに向かってくる。「申し訳ありません。もう給水 は終了してしまいました。」普段なら、困ったな〜と思うところだが、もうのどは渇いていない。それより、 心配してくれて声をかけてくれたのが、何よりも心強い。もう、お腹を曲げないと走れない。ずっと体をくの 字にして進む。あと1Km。うしろから、事務局の人がコースにはられたテープを回収しながら、追いついて きた。残り200m程を並走する。

7時間51分6秒(午後3時51分)。17周終了。走行距離57.8Km。ウルトラマラソンランナーが一 人誕生した瞬間だ。お疲れ様と事務局人に声をかけられ、ついにウルトラマラソン終了。休憩場所では、何人 かが寝ころんでいる。皆、疲れと完走した喜びが混ざった複雑な表情。互いに声はでないが、目でねぎらいの 合図を送りあう。イスに座ったとたんに、両二の腕が痙攣を起こす。帰り支度をしながら、胃腸は完全にいか れた感じで胸はむかむか。嘔吐におそわれるが、胃腸は空っぽでなにも出てこない。安堵感と疲労感がまざ る。過酷なレースの一言につきる。左足の裏が痛み引きずるようにして、駐車場へ向かう。

午後7時、関越道路で高崎インターの表示を見る。遠くに会社のビルがぼんやりと光っている。今日一 日の終わりを感じた。本当にお疲れ様!