.目指すはフルマラソン 42.195km

 96年11月の県民マラソンから始まった合計12回マラソンに参加し、着々と自信をつけてきたのですが、

フルマラソンとなると、さすがに難題である。頭で考える前に、股間がキュッと緊張してしまうほど、体が本能的に反応してしまうのです。

どうしたら、走れるのかまずは、本で勉強だ!!

月間雑誌、「シティーランナー」や「ランナーズ」、「新ゆっくり走れば速くなる(浅井えり子著)」、「マラソン夢の42.195に挑戦」を読破。

色々書いてありましたが、私なりに要約すると、

(その1)

・30kmを越えると体の負担はかなり大きいとのこと。

・体力(持久力、肺機能)をアップさせるために、月間150kmくらいの走り込みが必要。

・LSD(long slow distance)を心がける。

・詳細は省くが、長距離走るためにはエネルギー源となる体内のグリコーゲン蓄積能力と皮下脂肪の関係がある。

 

(その2)

・一定のペースを保つ。

・疲労が極力蓄積しないように、スローでよいから一定のペースで走る。

(その3)

・練習で必ず40km程度を経験する。遅くてよい。

(その4)

・一番大切なのは、根気。一度決めたら、やりとげるのだ!! 

 

さて、フルマラソン予定は、来春4月のかすみがうらマラソン(茨城)

(小島さんのお勧めで、時間制限6時間以内で、平坦なコース。)に決定したのだ!!

(なんのことはない、それまで、初心者向けの大会がないのだ!) 

目標タイム、4時間30分以内!!

(女優の加来千賀子も4時間30分以内で走ったそうな。おれにもできるべ!)


2.練習のための大会

@草木湖一周マラソン 19Km(平成9年9月23日 朝から雨、とにかく雨)

Aたくみの里マラソン 10Km(平成9年10月19日 快晴)

左膝は数日で治ったが、右足裏の痛みは、足の甲の痛みに変化。

1週間たっても良くならない。足首、アキレス腱でなはい。

知らぬうちに左膝をかばって、疲労が右足にたまったのではないか?翌週の群馬県民マラソンは欠場。

その翌週の上州太田スバルマラソンも参加が危ぶまれる。

 B上州太田スバルマラソン 12Km(平成9年11月9日 晴れ)

会社の健康管理所の田中先生に相談して、これからのことも考えて念のために病院で見てもらうことにした。

会社の近くのクリニックでレントゲンをとったところ、右足に異常はなかった。

診断によると、薬指の根元の関節が、歩くときの5本指の支点になるため、

一番疲労がたまるところだそうで、私の痛みもそこが発生源であった。

練習再開に支障なしとのことであった。

また、左足外側の痛みは、マラソン膝と呼ばれるもので膝の関節と腿からから、

足首に伸びる靭帯が摩擦するために起こる痛みであった。

O脚であったり、走り方が悪いと起こるそうなのでこれからの練習や筋力トレーニングが必要とのことであった。

とにもかくにも、一安心。

3.初フルマラソン
「どさんこ」、袋井(静岡県)に討ち入り! (12月14日)

 フルマラソンに挑戦する予定は、来年4月の霞ヶ浦マラソンの予定であったが、年があければ40歳。

30代の思 い出にチャンスがあれば年内に一度挑戦してみたいと、「どさんこ」の血が騒いだ。

マラソンの大会情報によると、 年内に関東近郊でフルマラソンを開催するのは、

なんと静岡県袋井市(浜松市の隣)の袋井クラウンメロンマラソン だけであった。

10月下旬に一時足を痛めて十分な練習をしていないため、

スタミナ面での不安と膝の疲労が十分に とれているかどうかが心配の種であった。

練習も毎週1回10Km程度である(月平均走行距離も60〜80Km程 度)。

しかし、10月、11月の大会の成績は今期のベスト記録が出ている。

とはいえ、当日、体調が悪ければ辞退 や途中棄権も辞さないつもりで望むことにした。

 12月14日は、赤穂浪士の討ち入りの日である。記念すべき日にフルマラソンに挑むことになった。

高崎から 袋井市までは、320Km、高速道路を使わずにいくと8時間30分かかる。

12月13日(日)午後3時、愛馬ハイ ラックスサーフにまたがり出陣。

今晩は、豪華ホテルでも野宿ではなく、会場(袋井商業高校)近くの指定駐車場にて車中 泊(ほとんど野宿に近い?)。

予定どおり、夜中の12時に到着。

既に、先客がおり、テント組や車中泊組(車のナ ンバーが室蘭)がいる。

私も含めて、皆、完全な重病人だ! 富士山には既に雪がかぶっていた。

満月がきれいな夜 であった。

長距離ドライブで疲れているにもかかわらず気持ちが高揚してなかなか寝付かれない。....グオ〜 〜...。

 ●いざ、出陣! 第9回袋井クラウンマラソン42.195Km!

スタートは袋井商業高校グランド。天気は晴れ、無風。

ラジオをかけると気温最低5度、日中は14度程度の予 報である。

フルマラソンの参加者は総勢1755名。制限時間は5時間。

若い女性のエアロビクスインストラクター の指導(すぐに目がさめた)で軽くウオーミングアップの後、入念に準備運動をする。

「左膝のマラソン膝よ、少し でも長持ちしてくれ」と、左膝を撫でながら、鹿島アントラーズのビスマルクのように祈りを捧げる。

 目標タイムは4時間30分以内。

平均タイムが徐々に落ちてくることを考慮してシュミレーションすると、

4時間 36分台(最初の20kmは6分/Kmペース。残り20kmは7分/Kmペース。最後の2Kmは7分30秒ペー ス。)である。

最低でも、これはクリアーしたい!

 袋井市長さんのスタートの合図で、ついに、夢のフルマラソンのはじまり。

1週間ぶりに走るので、ペースをあげ ないように、6分/Kmのイメージでスタート(実際には5分24秒/Km)。

スタート2km、折り返し地点、ゴ ール前にそれぞれ起伏のある丘がある。決して平坦なコースではない。

遠州3山(可睡斎、油山寺、法多山)を巡るコ ースで、途中サッカーのワールドカップ静岡競技場の前を通過する(折り返し地点付近)。

 5Kmを過ぎて、10Km地点近くでやっと気持ちも体も落ち着いてきた。

練習時と同じ感じ(5分48秒/K m)で走っている。しかし、今回は30Km以上は全くの未経験の世界。

ペースをあげないことに気を配る。

毎度な がら、老若男女を問わず、どんどん追い抜かれていく。

 15Km地点でタイムをはっきりと確認。

5分34秒/Kmペースで練習時と同じ。マイペースである。

それに、 いつもはそろそろ痛みがでてきてもおかしくない左足はマラソン膝になっていない。

膝に負担がかからないように、 極力道路の右側を走ってきた結果がでているのかもしれない。

いずれにしても、今のところ、体に全く異常なし。い わゆる快調である。

中間点付近の丘は少々きつい登り坂であったが、なんとか、無難にこなす。

起伏が少ないせいも あるが、過去2回(北軽井沢、尾瀬片品)のときよりも、疲労が少ない。

中間点で2時間1分2秒。ベストタイム。

15Kmから20Kmまでは5分48秒/Kmペースで依然快調。

このままいくと、4時間を切ってしまう勢いだ。 サブフォーになるのではないかと、あまい期待に酔っていながら走っている。

楽しい。ここにきて、自分自身にある ことを発見した。頭がぶれないのである。

リズム良く走っているとき、上下運動がない。ウエストバックが振動しな い。

まるで、瀬古のようだ(また、始まった。私はただの40間近のおっさんだ!瀬古が怒るぞ!)。

いずれにして も、走り方が良くなってきているのではないかと思える。

ところで、10月に高崎から伊勢崎までの往復40Kmに 挑戦したとき、伊勢崎を折り返えす20Kmすぎてからの疲労が堪えた。

その結果、30Kmで膝の痛み、足の痛み がひどくなってリタイヤした経験がある。今回は中間点を過ぎても膝の痛みはない。

しかし、疲労がたまり始めてき た感覚がしだいに強くなってきた。

 25Km地点でタイムをみると、20Kmから25Kmは6分2秒/Kmのペースまで落ちてきた。

ここまでで、 2時間24分1秒。4時間以内でゴールすることは、私の実力では不可能となった。

しかし、4時間30分の目標は 十分クリアできるタイムだ。

油断はできないと言い聞かせて、リズムを整える。瀬古の走りに徹する。

 29Km地点の給水所では、今まで以上に飲み物、レモンなどでエネルギー補給。

薄手のランニングパンツを1枚 脱ぐ。30Km地点に到着、この間の5Kmはあきらかにペースダウン。

疲労がたまったのが判る。しかし、依然と してマラソン膝はなりをひそめているが、腿に張りがでてきた。

段々とつらくなってきた。

次の給水地点は34Km 地点。とても待ち遠しい。

 34Km地点の給水所が見えてきた。とにかく疲れた。腿がいたい。

足が前に出なくなってきた。歩幅は狭まる。 空腹とのどの乾きが激しい。

やっとの思いで到着。

ジュース、お茶を何杯も飲み、メロン、バナナ、レモン、みか ん、かりんとうを何個もほおばる。

とにかくおいしい。

軽くストレッチをしようとかがもうとするが、しゃがむこと ができない!かなり、足に来ている証拠だ。

手伝いをしている小学生が「あと8Kmで感動のゴール!」と書いたメ モ用紙をランナーに見せて勇気付けている。

「泣かせることを書くじゃないの」と思いながら、深呼吸して、それ! っと声を出して再出発。この先大きな給水所はない。

「残り8Km、家の周りを9周するだけさ!」と強がっても、 やっぱり、つらい。

35Km地点で計測すると、ここまでの5Kmは7分19秒/Km。

給水に時間をかけたとはい え、これ以上ペースダウンはできない。

4時間30分をきれなくなってしまう心配もでてくる。

 35Kmを過ぎると、腹筋が弱くなってきたせいか、背中が丸くなってきている感じを抱きながら走る。

腿はあが らない。

足を引きずるようにして走る。股も少々痛みだした。

距離表示のあるところでタイムをメモに書きとめなが ら走ってきたが、今回はその気力がない。

体の中で疲れていないところはどこか?と考えると、両腕である。

腕の振 りを今まで以上に意識してリズムをとることにした。

足がそのリズムにひきずられながらというよりも、まさに引き ずって走っているようだ。

このあたりから、歩いている人が目立つ。中には足を引きずっている人もいる。

逆に、年 輩の人が、リズム良く追い抜いていく。

フルマラソンの正念場にさしかかってきたようだ。

ここまできたら、歩くわ けにはいかない。

またもや「どさんこ」の血が騒ぐ。

 39Km地点に到着、前方に、小高い丘。最後の試練!ここに来ての登りは正直言って、精神的に滅入った。

坂を 見ないで足下を見ながら、今まで以上に腕の振りを強くした。

「はっ!はっ!」と声混じりの息づかい。そういえ ば、25Km過ぎてからずっと声混じりの息づかいが続いている。

のども乾くはずだ。足の裏は既にしびれている。

 特に左足の裏は皮が剥けたのではないかと感じるくらいだ。

(実際には剥けていなかった。)40Km地点でタイム 確認。

35Kmからの5Kmは7分11秒/Km。タイムを維持している。

「なんとかなる?、いやわからない?」 と頭の中がぐるぐるしてきて、計算が怪しくなってきた。

 残り2.195Km。家の周りを2周とちょっとと言い聞かせて、リズムを崩さないように息を整える。

両腕以外 は全部痛い。

ゴールが近づくと声援が大きくなる。

心強いが、前半のように、声援してくれる人に、頭をさげたり、 手を振ったりして応えることができない。

グランドの入り口の最後のカーブで時計に目をやると、24分。ゴールま での50mほどの道は緑のジュータンが敷いてある。

いっきに駆け抜けたつもりだ(そう自分では思っている)。ゴ ー〜〜〜〜ル。

目頭があつくなった。頭の中は真っ白!髪も真っ白!(よけいなお世話だ!)

 4時間24分53秒 (1755人中1025位)。


完走後、大会スタッフの中学生に写していただきました。

 追記;マラソンをはじめて1年と4ヶ月。

月間走行距離は60Km程度と市民ランナーとしては、かなり 少ない

(一般的には月150Km以上走るのだそうだ)。

なんとか、初期の目標はクリアした。最後の目標 は夢のウルトラ100Kmマラソンであるが、

まず、マラソン向きの体力をつけて、サブフォー(4時間以 内)を目指す。

次回の大会は、来年の2月の勝田マラソンか4月の霞ヶ浦マラソンである。